お婆ちゃんは魔法使い
「お婆ちゃん 僕忘れてなんか居ないよ。
昨日はね。
聡君の部屋でビデオを見たんだよ。
聡君のお父さんが 星が綺麗だから
今夜は ビデオに撮るから
明日ゆっくり見なさいね。」と言ったんだって。」
孝介の記憶は鮮やかに掘り起こされたのだ。
お婆ちゃんは嬉しくて・・・嬉しくて・・・
ほっとしたがこれで終わったわけではない。
作文の始まりでもない。
不安と喜びが交差したが孝介の動きが何処まで
再現されるかじっと絵を見て居た。
絵を好きな孝介は真剣な表情で描き続けた。
聡君の部屋のビデオと窓と カーテンを紙に描きあげた。
絵は纏まって居ないが幸介の話の通りの絵だった。
絵を描く孝介の動きに目を瞑ったままお婆ちゃんは じっと待った。
ふっとお婆ちゃんの顔を覗いた幸介は
慌ててお婆ちゃんの肩を揺すった。