イケメン侯爵様とお試し結婚!?

「いい加減、結婚相手を作った方がいいんじゃないか?」

そうヴァンに進言したのは、同じ騎士仲間のサイモン。彼はヴァンを良く知る友人の一人でもあります。
二人は夜会の熱気に疲れ、外の警備と称してテラスで休憩をしていたのでした。

「そうなんだが・・なかなかいい相手が見つからなくてね」
「あんなにいっぱい言い寄られてるのにか?」
「・・・苦手なんだよ、香水がっつりつけてギラギラに派手なやつは」

夜会なのだから派手にしてんだろうが、とサイモンは思いますが、さらにヴァンは話を続けます。

「後はガツガツ来られるのもね。飢えてる動物みたいで萎える」
「ふーん。じゃあお前はどんな奴がタイプなんだよ」
「タイプ・・・ねぇ。そうだな、飾らなくて元気な人かな」

なんだそりゃ、そんなの令嬢にはいないタイプじゃねぇかよ!
と、サイモンは頭を悩まします。しかし、ある事を思い出したのです。

「そうだ、お前そばかす令嬢の話、知ってるか?」
「そばかす令嬢・・?あ、もしかしてグランベール伯爵の」
「そうそう。彼女なんかはどうだ?」
「彼女なんかは・・・って。私は詳しい事を知らないんだよ」
「なんだ、知らないのか。彼女は相当変わってるらしいぜ。こういった夜会も出ず、馬に乗って出掛けたり、畑仕事ばかりしているそうだ。姉のリリア公爵夫人と違って顔はたいしたことないらしいが、お前の言う飾らなくて元気な子にピッタリじゃないか?」


そう言うとサイモンはニヤニヤしながらウィルを見ます。


さぁて、どんな反応が来るかな?


サイモンは「いくらなんでもそんな変な令嬢を!」と言うと思っていました。ところが、ヴァンは意外な反応をみせたのです。


< 109 / 163 >

この作品をシェア

pagetop