イケメン侯爵様とお試し結婚!?
少し寂しそうな、切なそうな表情を浮かべるクレアを見て、サイモンの心がドクンと鳴ります。

「離縁の原因は、彼の浮気って言われてるけど、実際は違うのよね。本当は彼の好きな人は、前からその浮気していた女性だった。それを強引に奪ってしまったのは、私」
「そう・・・なんですか」
「だから離縁したのよ。私が愛される事は一生ないと解ったから。結婚する時は私も若かったから、自分の事しか考えてなくて。今思えば悪い事したなぁと思うわ。でも今はその人と幸せに暮らしているからいいんじゃない？と思う・・・って最低よね、私」

まさかクレアがそんな結婚をしていたとは知らず、サイモンは動揺が隠せません。

「クレア様も何かに執着する事があるんですね」
「若い頃はね。なんか必死だったわ」
「まあ・・・、若い内は失敗もよくある事ですから」
「かなり大きな失敗だけどね」

そう言うと、また勢いよくお酒を飲み干しました。

「・・・飲みましょう。そして忘れましょう。クレア様」
「そうね」

気づけば外は闇に覆われ、酒場も賑わい始めています。
２人はそのまま時が過ぎるのを忘れ、飲み続けていました。





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