イケメン侯爵様とお試し結婚!?
そう言うと怪しげな笑みを浮かべ、サイモンを見上げるクレア。

長い睫毛に、少し赤くなった頬。
そしてサイモンの顔の近くにあるクレアの髪から、ほのかに石鹸の匂いが香り、思わず顔を背けてしまいました。

「どうしたの?」
「い、いや、なんでも・・・」

あれ?どうした、俺。
なんか変だぞ?

「フフッ。さ、帰りましょう。家まで送るわ」
「・・・すいません」
「この借りはまた後でね」

触れた場所から伝わる、クレアの体温。

それがサイモンの心の中に、ある感情を植えていきました。
その感情がなんなのか、サイモンにはまだ解っていません。



それが"恋"だと知るのは、もう少し先の事でした。
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