イケメン侯爵様とお試し結婚!?
―――――夜。
湯浴みを終え、後は寝るだけとなり、アマルダはゆったりとベッドに腰掛けています。
自分の布団で寝るのも久しぶりです。
いつ帰ってきてもいいように、部屋は以前のまま変わっておりませんでした。

「まずはお礼を言うわ、ラフィア。私がいない間色々とありがとう」
「いえ、アマルダ様。当たり前の事をしたまでですから、お礼など必要ありませんわ。それよりも私はアマルダ様が幸せになる事がとても嬉しいのです。アマルダ様が生まれてから、ずっとお傍で世話をしてきた身としては、こんなに幸せな事はありませんわ」

ラフィアは少し目に涙を溜めて、今にも泣き出しそうです。

「やだ、泣かないでよ。ラフィア」
「こんなに嬉しいのに、泣かない人などいるものですかっ・・・!」

ラフィアはアマルダより15歳年上。
アマルダにとってラフィアは亡くなった母の代わりでもあり、相談できる親友でもありました。
ラフィアもそんなアマルダの為なのか、今まで結婚もせずアマルダに仕えてきたのです。

「ラフィアももう自分の幸せを考えてね。今まで自分の幸せも省みず、私の為に一生懸命尽くしてくれて・・・。本当にありがとう。そしてごめんなさい」
「・・・いいのですよ。私はアマルダ様の成長をこの目で見られた事がとても誇らしいのです」
「でも、好きな人はいたでしょう?私のせいで結ばれなかったとしたら、それはとても辛く苦しい事だわ」
「好きな人・・・ですか。・・・そうですね。いたと言えばいた、かもしれません。・・・でも、それはどうやっても叶う事のない恋です。アマルダ様に仕えていなくても、結局は叶う事のない恋なのですよ」

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