イケメン侯爵様とお試し結婚!?
部屋にひとり残された伯爵様は、ふぅと息を吐くと肖像画にまた顔を向けます。そして、静かに語りかけました。
「なぁ、エメルダ。アマルダも随分と大人の女性になったなぁ。若い時のお前にそっくりだよ。・・・私の幸せ、か。私の一番は勿論お前だが・・・。少しは考えてもいいのかな?」
伯爵様の奥様、エメルダ様の肖像画はただそこで笑っています。
動く事も、語る事もない絵。
それでもなんとなく、エメルダ様の声が聞こえたような気がしました。
――――幸せになって。私はあなたの幸せを一番に願っているわ。