イケメン侯爵様とお試し結婚!?
「どうしたのですか?何かあったのですか?」
その沈黙を破る、低く透き通った声。
馬車が動かなくなり、不審に思ったのか主が声を掛けたのです。
そして、馬車の扉がバタンと開きました。
馬車から降りてくる男性。
降りてきたその男性を見て、アマルダは思わず息を飲んでしまいました。
この方が、ヴァン・リル・クレール様・・・。
目鼻立ちの整った顔。
すらりとした背。
風になびくさらりとした茶色の髪。
鍛えているであろう身体が、この国の貴族の着る一般的な服装の着姿をより、格好良く目立たせます。
やだ、本当にカッコいいじゃない・・・。
思わず見とれて動けなくなったアマルダに、ヴァン様は目を向けました。
目がばちっと合い、我に返って慌てて目線を逸らします。
「・・・おや?あなたは」
「あ、あなたがヴァン・リル・クレール様でいらっしゃいますか?私がアマルダ。アマルダ・ルイン・グランベールと申します」
少し声が上擦ってしまうアマルダ。
さあ、これでどうだ!
現物の私を見て幻滅しただろう!!