イケメン侯爵様とお試し結婚!?
「はあ、面倒臭い事になったわ・・・。よっぽどの変人がいるものよね、ラフィア」
アマルダはため息を付きながら、隣で同じく畑仕事をしていたラフィアに声を掛けました。
ラフィアはアマルダ付きの侍女です。
ラフィアもアマルダを手伝い、一緒に畑仕事をしていたのでした。
「そうですねぇ、アマルダ様に結婚を申し込む方など、変人以外の何者でもありませんわね」
ラフィアは作業を続けながら、平然とアマルダにそう話します。
アマルダも自身が変人であると自覚があるのか、ラフィアの言葉をそのまま受け取ります。
「そうよね。そんな変人と結婚するくらいなら、こんな屋敷出て行ってどこか小さな村で一人でのんびり生活していった方が何万倍もマシよ」
「その時は、この私もついていきますわ、アマルダ様」
ラフィアはそう言うと収穫したクレムの入ったかごをよいしょ、と抱えて立ち上がりました。
「ありがとう、ラフィア。さあ、このクレムを調理場へ持って行きましょう。今日のクレムを使った料理、楽しみだわ」
この時、アマルダはこの結婚の事にあまり深くは考えていませんでした。
いつものように、お父様達が折れるまで拒否をすれば事済むだろう、と。
しかし、この話がアマルダの運命を大きく左右するとは、この時は誰も知らなかったのです。