イケメン侯爵様とお試し結婚!?
レイラ様は抑えていた侍女達の腕を勢いよく振り払うと、逃げるように出て行きました。
レイラ様がいなくなると、ヴァン様はふぅ、と大きく息を吐きました。
そしてくるっと後ろを向くと、困ったような表情を浮かべながら、隠れているアマルダに向けて話したのです。


「・・・ったく、構わず食事をしてなさいと言ったのに・・・。アマルダ、聞いているんでしょう?」

その声にびくっと身体を震わせ、おそるおそるヴァン様の前に姿を現します。

「・・・バレました?ごめんなさい、どうしても気になって」

「バレてますよ・・・。後ろからあなたの気配が痛いくらいにありました」

「・・・ごめんなさい。私の悪い癖が出てしまいました」

「フッ。まあ、いいですけどね。こうなるとはなんとなくわかってましたから。じっとしていない人ですからね、あなたは」

目の前のヴァン様は、先程の顔とは打って変わって優しい笑顔をしています。
その笑顔に、またもやアマルダの胸が高鳴ります。
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