イケメン侯爵様とお試し結婚!?
そう。
行かなければお姉様と会う事もなかったし、あんな夢を見なくても済んだのに・・・。

「そういう貴族のルールを知らなかったアマルダが悪いんだよ。ちゃんと令嬢としての躾を受けていれば知っているはずだし」

その言葉に、アマルダは反論できなくなります。

「でも、知っていたら今のアマルダはいないしね。そうだったら私は結婚を申し込んでないかもね」

そういうと、またにこりと笑うヴァン様。

またその笑顔。
こんなに怒っているのに。
悪魔の笑顔なのに、その笑顔を見ちゃうと調子狂っちゃう。

「・・・ヴァン様のその笑顔は反則ですよ」

「なんで?」

「怒れなくなる」

「ふふふ、まあ、微笑みの王子と言われたくらいだからね。さて、もう逃げられなくなったし、後はアマルダが私を好きになるだけだよ?」

ヴァン様の瞳が、アマルダを怪しく見つめます。
その視線に動けなくなってしまうアマルダ。


「それとも、もう好きになっちゃったかな?」
< 66 / 163 >

この作品をシェア

pagetop