イケメン侯爵様とお試し結婚!?
事件発生
どのくらい、泣いたんだろう。

気がつけば、陽の高さが少し低くなっていました。
少し気持ちが落ち着いたアマルダは、泣きはらした顔をゆっくりとあげます。

「・・・ごめんなさい。ちょっと思い出してしまって」

「うん。もう大丈夫かい?」

「大丈夫。泣いたらスッキリしたわ」

そう言ってアマルダは微笑むと、撫でていた手を引っ込めます。

「余計な事を聞いて、泣かせてしまってごめん」

「ううん、大丈夫。これは私の問題だから・・・」

「そうやってひとりで悩まなくてもいいんだよ。何か辛い事があるのなら、私を頼ったっていいんだ。今言えないのなら、後でもいいから。ひとりで抱え込まないで。何があっても私が守るから」

そう言って微笑むと、今度は泣きはらして濡れた頬に優しく触れます。

「ヴァン様・・・」

「泣き過ぎて、頬が赤くなってるね。帰ったら冷やすといいね。・・・帰ろうか」
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