イケメン侯爵様とお試し結婚!?
「ん・・・」
手に当たった涙に気付いたのか、かすかな声が聞こえたとともに、ゆっくりとヴァン様の瞳が開いていきました。
「ここ・・・は・・」
「ヴァン様!ここはヴァン様の寝室です!良かった・・・!意識が戻って・・・」
アマルダは涙を流しながら声を掛けます。
震えた声に心配して、ヴァン様はゆっくりと横にいるアマルダの方に顔を向けました。
「ダメよ、あまり動かないで。頭に怪我をしているから・・・」
「アマルダ・・・。そうか、あの後私は倒れて・・・。すまない」
「なぜあやまるの?ヴァン様は何にも悪くないわ。私が・・。私がもう少ししっかりしていれば・・・」
そう言うと、アマルダはベッドに顔を伏せてしまいました。
「泣かないで、アマルダ。君がそう思いつめる事はないよ。これは私が原因だ・・・。むしろ私のせいで君を危ない目に合わせてしまった」
「それは・・・どういう・・・?」
「・・・アマルダが気にする事ではないよ。ただ・・・」
「ただ?」