俺の彼女が照れないんだけど。
「うーるーさーいー。
うるさ過ぎて寝れないよ。
ていうか、コレ誰?」
寝てる側で、騒がれた事が嫌だったらしく、漆原はまだ眠たそうな目をしながら体を起こした。
そして、自分の顔をひたすらにじっと見つめる年中発情男の存在に気付くと眉をひそめた。
「藍っ、煩くってごめんね?
ホント、放し飼いのめだかって困っちゃうよねー。
あぁ、その物体は気にしなくていいからもう戻ろう?」
「…ふーん。
お兄さん、ずっと見られると気持ち悪いんだけど。そんなに見ないで。
じゃーね、めだかくん。」
まだ若干不機嫌そうなお姫様は、学年一イケメンな荘士に顔を近付けられても顔を火照らす事も、照れる事も一切無く、無表情のまま去って行った。
「何、アイツ。
何であんな無表情なワケ?
普通はもっとリアクション起こすんじゃねーの?もうちょっと照れたりとかしようよ。」
漆原に非難の目を向けられた荘士は、ブツブツと何かを呟いている。
「お前にあんな態度取る女は、初めてだなー。しかもその内一人はクソ猿。
ドンマイ」
「……決ーめた。
アイツを俺の彼女にする。
この俺が一目惚れしたんだ。
ーーーーー俺の虜にさせて、毎日照れさせてやるよ。覚悟しとけよ?藍。」
………なんかカッコいい事言ってますけど、本人が居ないんじゃただのアブナイ奴だな。
つーか、お前が一目惚れする事自体、俺には驚きだよ。
「なぁ、なんで漆原の名前知ってんだ?」
「そりゃあ、ずっと前から好きだったからな。当たり前だろ。」
イヤ、それ昨日まで女と遊びまくってた奴のセリフかね。