俺の彼女が照れないんだけど。
「俺、超有名だし。
藍も、俺のこと好きになって近付いて来るかなーとか思ったけど、俺の存在さえ知らなかったみてーだな。
まぁ、俺の顔目当てで近付いてんだったらそれもそれでやだけど。」
「あーはいはい。
じゃ、明日から精々頑張れよ。」
「いや、俺まだ女と遊んどく。
アイツの前で、見せびらかせてやるよ。」
「遊んどくって、女は道具かよ」
楽しそうに意地の悪そうな顔をして笑う荘士は、どうやら本気見たいだ。
「あの無表情を俺がぶっ壊してやる」
ーーーーーそして、荘士が本格的に漆原に近付いていったのは、三ヶ月後ぐらいだった秋の事だった。
何故かと言うと…
『なんかさ、どんだけアイツの前で他の女とキスとかしてても、見向きもしねーんだよ。一回、話し掛けて見たんだけどさ、誰?って言われた』
俺は、こんな弱っている荘士を初めて見た。
三ヶ月程前とはまるで真逆。
いつもの自信満々な顔は、不安に満ち溢れ、声も弱々しかった。
…お前はよく頑張った!
ほぼ毎日クソ猿にフルボッコされながら、よく三ヶ月も耐えた!
あの時は、あまりにも醜い荘士の姿に涙が浮かんだっけ。