まどわせないで
ため息と共に複雑な思いを吐き出した小麦は、出来た肉じゃがをお皿に取り、テーブルに作ったものを並べて夕食の準備を進める。
今日は肉じゃがに、ほうれん草のお浸し。油揚げと大根の味噌汁に、ご飯だ。
準備が整うと、小麦は座って、
「いただきます」
手を合わせて食べ始めた。
味の染みた肉じゃがを口に入れて、上出来の味に笑みを浮かべたとき、ピンポーン! インターホンが鳴った。身動きを止めて、インターホンを見つめる。
宅急便? でも、なにか届く予定はない。友達? でも、事前に連絡もなく、いきなり来るような失礼な友達はいない。
誰……?
ピンポーン!
なんだか、不吉な予感。
あの日も、ちょうどこんな夜だった。
でも、まさか。ねぇ?
不安感を抱きつつ、こわごわインターホンに近づく。
「……はい」
「俺だ」
そのまさかだった。
この蜂蜜のような甘さを感じさせる声、聞き間違えるわけない。如月さんだ。
声を聞いた瞬間、心臓が飛び上がり、たちまち体が警戒モードに入る。
声だけで、こんな状態なのだ。玄関先に出るわけにはいかない。
暫く音沙汰なかったのに、なんで今さら? わたしになにか用なのだろうか?
唾を呑み込み、落ち着いて答える。
「なんでしょうか」
「開けろ」
このひとはどうしてこんな言い方しか出来ないんだろう?
今日は肉じゃがに、ほうれん草のお浸し。油揚げと大根の味噌汁に、ご飯だ。
準備が整うと、小麦は座って、
「いただきます」
手を合わせて食べ始めた。
味の染みた肉じゃがを口に入れて、上出来の味に笑みを浮かべたとき、ピンポーン! インターホンが鳴った。身動きを止めて、インターホンを見つめる。
宅急便? でも、なにか届く予定はない。友達? でも、事前に連絡もなく、いきなり来るような失礼な友達はいない。
誰……?
ピンポーン!
なんだか、不吉な予感。
あの日も、ちょうどこんな夜だった。
でも、まさか。ねぇ?
不安感を抱きつつ、こわごわインターホンに近づく。
「……はい」
「俺だ」
そのまさかだった。
この蜂蜜のような甘さを感じさせる声、聞き間違えるわけない。如月さんだ。
声を聞いた瞬間、心臓が飛び上がり、たちまち体が警戒モードに入る。
声だけで、こんな状態なのだ。玄関先に出るわけにはいかない。
暫く音沙汰なかったのに、なんで今さら? わたしになにか用なのだろうか?
唾を呑み込み、落ち着いて答える。
「なんでしょうか」
「開けろ」
このひとはどうしてこんな言い方しか出来ないんだろう?