まどわせないで
「いま、俺はお前のふたつの質問に答えた」

「つまり、今度はわたしがふたつ質問されるってこと?」

 そうだ、と頷く陸に、どんな質問をされるのかと小麦は警戒した。
 だったら最初から、質問したぶん質問返すっていってくれたら黙ってたのに。
 如月さんのことだ。この機を待ってましたとばかりに、変な質問をしてくるに違いない。

「いつもこの時間に夕飯なのか?」

「へ?」

 突拍子もない質問に、毒気を抜かれ気が緩んだ。

「そんなこと聞きたいの? ほら、如月さんのことだから、もっと、変なこと聞いてくるんじゃないかって」

「酷いな。俺はそんな男じゃないぞ」

 心外だとばかりに目を閉じて首を振ってみせる。まるで、小麦のいいように傷付いているかのようだ。
 質問された小麦のほうは、そんなことを聞いても意味がなさそうなものだけど。疑問を感じつつとりあえず答える。

「あの、うん。基本的には、これくらいかな」

「………」

 時計をちらりと見た陸は、ふーんといった顔。

 わたしの夕飯の時間を知ったところで、如月さんにはなんの関係もないことなのに。
 ただの他愛のない会話のひとつ、なのかな?
 陸を相手にしていると、戸惑うことばかりだ。

「で、男経験の数は?」

「………」
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