まどわせないで
『体調崩さないように。気をつけて行ってきてください。』

『話しそらしたってことは図星だな?』

 どうしてこのひとはいちいちわたしの急所突いてくるんだろう。
 近くにいないのに、変にドキドキさせられる。

『別に話しをそらしたわけでは……』

 困っていると、

『変わりはないか?』

『戸締まり、ちゃんとしてるだろうな?』

 立て続けに問いかけられて苦笑する。
 なんだか、メールでも調子変わらないひとだなぁ。
 まるで隣りにいるみたいで、どこか沈んでいた心が軽くなった。

『大丈夫です。いつもと変わりありません。変わらないから、おかず多めに作っちゃって大量に残ってしまいそうです』

『冷凍庫あるだろ。捨てるな。帰ったら食べる』

 それはつまり、俺が食べるから捨てないで冷凍庫に保存しておけってこと?

『分かりました。取っておきます』

『それから。来週の月曜日、夜開けとけ』

『来週の月曜日? 1週間後ですね』

『月曜日帰るから、そのとき飯ご馳走してやる。風邪引くなよ。おやすみ』

『おやすみなさい』

 予定、開いてるか? じゃなくて、開けとけよなんだから。
 飯ご馳走してやるって。
 それってつまり……。

「で、デート!?」

 正座をしていた小麦が勢いよく膝立ちになって、ぶつかったテーブルに置かれていた食器が高い音をたてる。
 如月さんからデートのお誘いー!?
 どうしよう。
 戸惑いながらも、喜びのほうか勝っていた。



 ※キケンなおもてなし後編へ続きます。
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