わたし、式場予約しました!
 どうでもいいことにこだわり過ぎなのよ、と言う里に、

「里さんにはわからないのよ。
 親に捨てられた子どもの気持ちなんて。

 それを拾ってくれた人がどれだけありがたい存在だったかとか」
と言うと、真子が料理を運びながらも聞いていて、

「あらあら、瑠可さん」
と苦笑いしていた。

「私はあんたを捨てた覚えなんてないわよ。

 あの子が強引に引き取ってったのよ。

 あんたも、あの子の手を取った。

 だから、こんな子もう知らないって思ったわ。

 腹を痛めて産んだのに。
 こんな裏切りってないって思った」

 いや、誰が父親を裏切って、愛人と出て行く母親についてくと思ってるんだ。

「そんなことより」

 そんなことよりってな……、と思っていると、

「あんた、ほんとに一真くんが好きなの?」
と訊いてくる。

「うーん。
 思ってたより好きかなって昨日思った」
と言うと、またも聞いていた真子さんが、あらあら、と言う。
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