わたし、式場予約しました!
「違うんですっ
 私は、和歩さんとは結婚しませんっ」

 綾子はそう言い、詫びてきた。

「私、結婚を反対されてる相手が、海外に居て。
 パスポートを親に取り上げられているんです。

 なんとしても、取り返したくて。

 友だちと旅行とか言う程度じゃ、駄目そうだったから。

 諦めて、見合いして結婚するって言ったら、日本から出られるかなって。

 それで、お見合いした和歩さんにお願いしたんです。

 到底、聞いてもらえるようなお願いではないと思ったんですが。

 私が追い詰められているのがわかったのか、和歩さんは、自分はそんなことをしても特に問題ないからと言って、協力してくれたんですけど。

 あとで、貴女のような方が居るのを知りました」

「私はただの妹ですよ」

「いえ。
 そうではないのは、一目見てわかりました。

 すぐにこの話はなかったことにしてもらおうと思ったんですが。

 和歩さんが絶対言うなって。

 何処から、もれるかわからないから。

 それに、どうせ、あと二ヶ月のことだからって」

 あのとき、和歩が結婚することを寂しがる自分に、二ヶ月待て、と和歩は言った。
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