わたし、式場予約しました!
 いや、パルテノン神殿なのだが、なんだかそんなイメージだ。

 一真が忙しくて、結局、新婚旅行にも行けないのだが。

 落ち着いてから、いつかバリに行くつもりだ。

 二人とも、飛行機は苦手だが。

「浜野瑠可」

 牧師の呼びかけに、何故、女が先? と思いながらも、
「はい」
と答える。

「浜野和歩」

 ……え?

「健やかなる時も、病める時も、常にこの者を愛し、慈しみ、守ることを誓いますか」

「誓います」
と聞こえたのは、教会の入り口だった。

 一真は忙しいからと、自分とは別に衣装合わせに行っていた。

 新郎の衣装を見たら、きっと驚くぞ、と笑っていたが、本当に驚いた。

 いや、衣装じゃなくて、着ている人間に。

「……和歩」

 横に居た一真が言う。

「今日の俺は式場のスタッフだ」
「え」

「お前、式場の入り口に書いてあったろ。
 浜野家、浜野家って。
 見てないな」
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