わたし、式場予約しました!
「言ったろう。
 初恋を引きずっていると、どんどん美化される。

 此処で和歩と結婚しておけ。
 きっとすぐに飽きるから。

 そしたら、心おきなく俺と結婚できるだろ」

 貴方、どんな俺様ですか。

「……離婚しなかったら?」
と一真を見つめて問うてみた。

「いや、お前はするよ」

 少し笑い、訊く。

「私が実は貴方を好きだったら?」

「……そうなのか?」

「いや、そんなこともないんですけど」
と呟くと、思い切り靴を踏まれた。

 好きでないこともない。

 ただ、それが恋に到達するまでには、もう少しかかるかな、と思っていた。

 一真の言う通り、和歩を想っていたこの長い年月がそう簡単に消えるわけもないから。

「大丈夫。
 迎えに行くから。

 必ず、最後は俺が手に入れる。

 誓いのキスだ」
と一真は瑠可の手を取ると、彼のくれた婚約指輪を抜き取り、薬指に口づけた。

 なにやら式場が盛り上がっている。

 この結婚式、此処がピークじゃなかろうか。
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