わたし、式場予約しました!
「俺は……ずっと居るよ。
 お前の側に」

「居ないじゃん。
 結婚したら、奥さんや子供の方がよくなって。

 そっち、べったりになるに決まってる。

 和歩が出て行くって言うんなら、私が先に出て行くもん。

 置いていかれるの、嫌だからっ」

「……瑠可」

 俯き、じっとしてる自分の前に手が差し出された。

「ほら」
と和歩が言う。

 あのときと同じに。

 あれが悪夢の始まりだった。

 そう思いながらも、また、私はその手を取った。

 二人で手を繋いで歩き出す。

「瑠可。
 なにも心配するな。

 誰もお前から離れていったりしない。

 側に居る」

「嘘ばっかり」

 嘘じゃない、と星を見上げて、和歩は言った。

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