わたし、式場予約しました!
和歩の頭に頭を寄せると、首の辺りから和歩の香りがした。
落ち着く、その香りはもう少ししたら、きっと変わってしまう。
綾子と結婚して、家を出たら、使うシャンプーも石鹸も、洗剤もきっと変わってしまうだろうし。
食べ物が変われば、和歩自身の匂いも変わってしまうだろう。
結婚した和歩と会っても、きっと、それはもう自分の知る彼じゃないと思うだろうな、と瑠可は思った。
今だけだ。
こうして、和歩が側に居てくれるのは。
和歩に好きだとか言ってみればよかったのだろうか。
いや、それは無理だ。
私はあの家族の中に居たかった。
お父さんとお母さんと、和歩と、あの空気の中に居たかった。
和歩を男性として愛するというのは、あの家族の輪の中から自分が離脱することを意味する。
私は和歩より、『家族』を選んだんだ。
その結果がこれだ。
だから、後悔なんかしちゃいけない。
「もう降りる」
だから、家が近づいたとき、瑠可は言った。
お母さんたちに見られたくないから。
自分がこんな未練がましいことをしていることを。
和歩はそっと降ろしてくれた。
落ち着く、その香りはもう少ししたら、きっと変わってしまう。
綾子と結婚して、家を出たら、使うシャンプーも石鹸も、洗剤もきっと変わってしまうだろうし。
食べ物が変われば、和歩自身の匂いも変わってしまうだろう。
結婚した和歩と会っても、きっと、それはもう自分の知る彼じゃないと思うだろうな、と瑠可は思った。
今だけだ。
こうして、和歩が側に居てくれるのは。
和歩に好きだとか言ってみればよかったのだろうか。
いや、それは無理だ。
私はあの家族の中に居たかった。
お父さんとお母さんと、和歩と、あの空気の中に居たかった。
和歩を男性として愛するというのは、あの家族の輪の中から自分が離脱することを意味する。
私は和歩より、『家族』を選んだんだ。
その結果がこれだ。
だから、後悔なんかしちゃいけない。
「もう降りる」
だから、家が近づいたとき、瑠可は言った。
お母さんたちに見られたくないから。
自分がこんな未練がましいことをしていることを。
和歩はそっと降ろしてくれた。