Last Love



それに、別れた時からある程度は覚悟していたことだし。

妊娠は、予定外で驚いちゃったけど。



「それでも、定時後に話すべきだった」


「え?」


「その顔じゃ、仕事出来ないでしょ」



そう言って、私の頬に触れた。



「涙、出ている」



こういう時に、まだ好きなんだと実感する。

裏切られた相手に泣くなんて。

3ヶ月経っても、何も変わっていない。

前に進めていない。

ぶつけられない想いは、どうやって消化したらいいのだろうか。






「吉見さんっ」



消化する方法もなく悶々としていたある日、あの子と同じ部署の子が私を呼んだ。



「ちょっと、来てくれますか?」



今更、何の用があるというのだろうか。

イヤ、この子があの子と繋がっているとは限らない。

呼ばれただけで結び付けたら可哀想だ。




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