Last Love
イヤ、そもそも今こうやって見たのも偶然ではないのかもしれない。
どちらにしろ、笑って話せることではないし、何もなかったかのように付き合いを続けることは出来ない。
「今までありがとう。さようなら」
誰も聞いていない中、そう呟いて家を出た。
不思議と涙は出なかった。
外は、信じられないぐらい青空で、私の心とは正反対だった。
同棲なんて許さなくて良かった。
仕事は……どうしよう。
辞めるしかないのか。
でも、フロアが違う。
逢おうと思わない限り逢わない。
彼は営業だから、ほとんど社内にはいないはずだし。
失恋で辞めるなんて嫌だから。
最初から、遊びだったのだろうか。
確かに、彼みたいに優しく社交的で顔もそれなりにいい人が、私みたいな地味みたいな人と付き合っていたことがおかしい。