Last Love
浮気現場を見た時は、こんな風になるなんて思わなかった。
当分恋はしない、なんて思っていたのに、酷い人だと、最低だと思っていたのに。
嫌いにはなれなかった。
「紗希、返事聞かせて?」
優しい声と共に、彼の温もりに包まれる。
私はこの先、手放すことなんて出来ないと思う。
「私も、別れても諦めることが出来なかったぐら好きです。ずっと、一生傍にいます」
その返事に満面の笑みで、額と額をくっつける。
顔が目の前にあって、きっと私は真っ赤だ。
「オレは、別れたつもりはないけどね」
そんなこと言われると、何も言えなくなるけど。
「紗希……名前で呼んで」
「……和くん……大好き」
そう呟いた瞬間、唇を奪われた。
深く食べられそうなほどだったけど、何よりも甘かった。
ここが会社の食堂であることを忘れて、私たちは堪能していた。