Last Love
泣き叫ぶことはしたくない。
彼の前で、醜態はさらしたくない。
地味なまま、消え去りたい。
だから、鳴り続ける電話に耳を塞ぎ続ける。
弱いっていわれようが、こうすることしか出来ないから。
「いつまで、彼女でいるつもりですかぁ?」
それは、あの出来事があってから1ヶ月経った頃、仕事中にいきなり言われた。
主語もなく、一応敬語を遣っている程度。
語尾を伸ばしているあたり、あまり年上だと思われていないのだろう。
それどころか、憎しみに近いモノが見て取れる。
「いきなり何?」
「高木さんのことですよぉー。
いつまでも地味なあなたが隣にいたんじゃ、高木さんが可哀想ですよぉ」
あ、思い出した。
この子、彼に色目使っていたんだ。
名前……なんだっけ?
違う部署の子だから……。
暴言に近いことを言われたのに、全然違うことを考えていた。