≪短編≫群青
深夜、体にのしかかる重みで息苦しくなり目を覚ますと、必ず大雅は私を抱き締める格好で眠っている。
そりゃあ、泊まってもいいと言ったのは私だけど。
でも、普通はもっと遠慮して、ソファなり床なりで寝るもんじゃないのか。
狭いシングルの布団の中、もがく私。
「ちょっと。マジで重いから」
せめて離してほしいと思いながらその体を押すが、寝惚けた大雅は、
「んー……」
と、うなり、
「綾菜、ラーメン」
ごにょごにょと、何か言っていた。
一体、何の夢を見ているのやら。
まぁ、違う女の名前が出てこないだけ、まだマシなのかもしれないが。
静かな夜。
抱き締められたベッドの中。
腹が立つ一方で、どこか大雅の存在に安堵している自分もいて。
チャラ男のくせに。
私のことなんか別に好きでもないくせに。
「馬鹿」
その寝顔に向かって呟き、私は抵抗を諦めた。