≪短編≫群青
で、何でこんなことになってしまったのか。
席替えをして、一番後ろの席になれたとわかった時点では、私は確かに喜んでいた。
けれど、左隣が大雅だとわかった次の瞬間、これは一体、何の呪いなのかと絶望した。
おまけに私の右隣は、大雅の友達の、チャラ男。
恐ろしいのに挟まれた席。
なのに、担任は、「事前に目が悪いと聞いているやつしか席の変更はないからな」と、のたまいやがるのだから、どうしようもない。
「もうほんとやだ」
私は半泣きで席を移動した。
机を動かし終え、着席すると、隣の席の大雅と目が合った。
私は口を尖らせながらも、一応「どうも」と言ったのだが、大雅はそれには答えず、
「首」
「え?」
「首んとこ、キスマーク見えてるぞ」
「えっ!」
慌てて首元を押さえる私。
あんた、いつの間にそんなものつけたのよ。
と、パニックになりそうだったのだが、
「なんつって。冗談に決まってんじゃん」
にやりと大雅は笑うだけ。
最低、最悪、ありえない。
信じられないという顔をする私に大雅は、
「何? 思い当たる節でもあった?」
と、またにやにやとする。
誰の所為だ。
と、言ってやりたかったが、もちろん言えるはずもなく、私は真っ赤な顔で唇を噛み締めた。