≪短編≫群青
「てか、そもそも、何でそんな子に手を出したわけ? あんたにも原因があるでしょうが」


私の指摘に、大雅はいっそう、ぶすっとした顔になる。



「乳がデカかった。あとはまぁ、酒飲んでたし、ノリで、つい?」


『酒飲んでたし、ノリで、つい?』って。

私の時と一緒かよ。


ふざけんなよと殴り飛ばしてやりたかったが、さすがの大雅も今回ばかりは少し懲りているらしく、



「マジで失敗だったし。もう二度と巨乳とはヤラねぇよ」


いやいや。

問題はそこじゃないと思うんですけど。


根本的に間違っていることで反省しながら、大雅は私の腕を引き寄せた。



「やっぱ俺には綾菜くらいがちょうどいいわ」

「って、あんたそれ、胸のサイズの話じゃないでしょうねぇ?」

「それも含めて色々と」


喧嘩売ってんのかよ、こいつは。

でも、酔っ払いの戯言だと自分に言い聞かせ、私はされるがままに大雅の隣に腰を下ろした。


大雅はグラスをローテーブルに置いて寝転び、私の膝を枕にする。



重い。

けど、安心しきったように大あくびする大雅を見てると、怒るに怒れない。


私は大雅の頭を撫でてやりながら、



「ねぇ」

「んー?」

「あんた何でカノジョ作んないの?」

「何、いきなり」

「いきなりじゃなくて、前から何度も言ってると思うけど。北女の子じゃなかったとしても、まともにカノジョ作って、カノジョとご飯食べて、カノジョの家で一緒にいる方が」

「別に、綾菜といれば事足りてんじゃん」
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