≪短編≫群青
「中まで熱そうだし。ヤッたら俺のまでどろっどろに溶かされそう」


冗談なのか、本気なのか。

私はぐったりとしながら、



「でも、できないよ」

「わかってるよ。さすがに今のお前とヤッたら、俺は鬼だろ」


大雅の発言には、少し驚いた。

本当に、看病するだけのために、私のところに来てくれたのだろうか、と。



「ほら、いいから薬飲め」


大雅は、先ほどよりは少しだけ楽になった私に、今度は飲みものと、箱から出した薬を手渡してくれた。


薬を飲んだら、今度は「寝ろ」と言われた。

言われた通りに再び横になると、なぜか大雅は私の布団の中に、一緒に入ってくる。



「何やってんの?」

「俺も寝る。昨日、バイトの先輩らとオールで遊んでたから、そろそろ死にそうだし」

「風邪、移るよ?」

「眠いのが先。つーか、俺、風邪引かねぇし」

「馬鹿だから?」

「うるせぇよ。馬鹿はお前だろ。俺は健康体なだけだ」


毒づいた大雅は、



「お前、薬飲んだ瞬間、いつもの可愛げのねぇ感じに戻ってんじゃん。ムカつく。余計なこと言える元気があるなら、犯すぞ」

「でも、それで私が死んじゃったら、大雅の所為だよ」

「冗談だっつーの。怖ぇよ、その脅し」


諦めたように、大雅は私に腕枕をしてくれる。

人肌のぬくもりが、今はひどく心地いい。


大雅は私のひたいにひたいをつける。
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