≪短編≫群青
「で、だったら一緒に観に行こうよってノリになってぇ。それで日曜にデートみたいなことして、あとは流れでそんな感じになったっていうかぁ」


何じゃそりゃ。

あんぐりと開いた口がふさがらない。



「そういうことだから、よっしくー」


園山くんは軽く言った後、



「あ、そうだ。大雅。俺、今度の合コン、もちろんパスね」


と、無邪気に笑う。

大雅も口元を引き攣らせていた。



「どうでもいいけど、マジでうぜぇ」

「とか言って、俺が羨ましいんだろー?」

「羨ましくねぇよ。そういうのがうぜぇっつってんだろ」


舌打ち混じりの大雅。

すると、園山くんは急に真面目な顔になり、



「なぁ、大雅。だったら聞くけど、北女の子と、マジであれからどうなったんだ?」

「別にどうもなってねぇよ」

「あんなにしつこかったのに、お前、何した?」

「何もしてねぇし。諦めただけだろ」

「そんなに簡単に引くような子じゃないと思ってたけど」

「うるせぇなぁ。もういいだろ、ブスの話は。思い出すだけで気分悪くなるし」


その返答が気に入らなかったのか、園山くんはため息を吐く。



「ヤッたくせに、簡単にポイ捨てしやがって。ひでぇやつだよ、大雅は。お前こそ、もうそういうの、やめたらどうだ?」

「関係ねぇだろ。自分に女ができたからって急に偉くなったみたいに俺に説教してんじゃねぇよ」


低く吐き捨てた大雅は、ごみ箱を蹴り飛ばし、そのまま教室を出ていった。

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