≪短編≫群青
それから、私と大雅は、見つけたお気に入りのおもちゃで遊ぶように、何度も何度も体を重ね、快楽に溺れるようになった。
誰も知らないふたりだけの秘密みたいで、それもまた刺激的だったのかもしれない。
家が近い上に、うちのママが夜に不在なのをいいことに、大雅は残りの夏休みのほとんどを、私の部屋の私のベッドで、私と一緒に過ごしていたのだ。
付き合うという話には一度もならないまま、私たちは中学を卒業し、同じ高校に入学した。
高校1年。
クラスは別々で、おまけに一番端と端。
相変わらず、誰にも内緒の謎の関係は続いていたが、でも大雅が目に見えて変わり始めたのは、その頃だった。
大雅がつるむようになったのは、学年でもわりと悪目立ちしていて、ちょっと近寄りがたいような、チャラチャラとした集団で。
大雅も大雅で、制服を着崩し、茶髪にしたり金髪にしたりしては、先生に呼び出されたりする毎日。
確かに元々、品行方正というわけではなかったにせよ、中学の頃から比べても、大雅は明らかに変わってしまった。
もちろんそれは、見た目だけではない。
今の大雅のまわりには常に女の子がいて、いつも「ヤッた」だとか「捨てた」だとか話している。
でも、なぜか誰かと付き合っているという話は一度も聞かない。
曰く、「めんどくさい女はうざい」らしいが。
擦れたっていうか、やさぐれたっていうか。
成長や変化と共に、すっかり男の色気をかもすようになった大雅は、代わりにいつもつまらなそうな顔をしている。
原因なんて、私にはわからない。
でも、大雅は事あるごとに「家には帰りたくねぇ」と言っていたので、そのあたりの何かがあるのではと、私は勝手に思っているのだが。