≪短編≫群青
chapter 7
無理して大雅のことを忘れようとしたところで、気持ちは全然、ついていかなかった。
でもきっと、それが答えなのだと思った。
朝、登校してみたら、にやにやした顔で近寄ってくる萌と園山くんが。
「綾菜ちゃーん。昨日、どうだったの? イッチーくんとデートしたんでしょ?」
「あぁ、……うん」
「いい感じになったりした? もしかして進展しちゃったりぃ?」
萌と園山くんは、友達の恋を応援するというよりは、野次馬根性丸出しなだけに見える。
私は息を吐き、
「あのね、そのことなんだけどさ。私」
言いかけた時。
教室の入口に、市井くんの姿を見つけた。
目が合って、照れたような笑みを浮かべる市井くん。
「ひゃー。噂をすれば、イッチーくんだぁ」
「これってマジで付き合っちゃう系じゃね?」
ひそひそと私をはやし立てるふたりを横目に無視する。
市井くんは、私の答えが気になって仕方がないという顔。
気が重くなりながらも、言わなきゃいけないことだと意を決し、私もそちらに向かおうと足を踏み出したのだが。
「綾菜!」
廊下から大声で呼ばれた声に驚いて顔を向ける。
息を切らしながら走ってきた大雅は、