≪短編≫群青
一時期は、私だって、この関係を終わらせるべきなのかと悩んだこともあった。

でも、結局は、快楽に流されて、考えることを放棄した。


惰性に身を任せていることが、一番、楽だったから。


悔しいけれど、大雅は私の体の敏感な部分を知り尽くしている。

おまけに、何の見栄も張らずに一緒にいられる人というのは、そうそういない。



あの熱帯夜から、約1年半。



「ほんと、今日くらいは帰りなよ。明日の始業式、出ないつもり?」

「あぁ、そうか。明日からまた学校か」


やっぱり忘れてたのか。

思い出したように舌打ちする大雅に、呆れ返る私。



「春休みは今日で終わり。うちら、明日から2年になるんだよ?」

「で?」

「『で?』じゃなくて。クラス替えの発表だってあるんだし、行かなきゃまずいでしょ」

「行かないとは言ってねぇだろ」

「でも、うちに泊まったら、大雅、一旦着替えに家に帰らなきゃだし、そしたら絶対、いつものパターンで遅刻じゃん」

「遅刻してでも行くよ、明日は。それでいいんだろ」

「だーかーら、そういう問題じゃなくてさ」


と、私が眉根を寄せた時、大雅は最後の煙を吐き出しながら煙草を消して、



「ちょっとお前もう、うるせぇからわめくな」


怒った顔で、私は肩を押さえて突き倒された。

先ほど終えたばかりなのに、大雅はまた私の上に乗る。


ヤッたらどうにかなるとでも思っているのだろうか。



「ほんと、勝手な男だよね」


目を逸らし、ぼそりと呟いた私の首筋に、大雅は歯形をつけるように噛み付いた。



大雅は勝手すぎる男。

でも、結局、それを拒みきれない私は、ただのどうしようもない女ということになる。


どっちもどっちで、だからきっとこの関係は、ずっと続いているのだろう。

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