≪短編≫群青
chapter 2
結局、あれから大雅はそのままぐだぐだと私の家に泊まった。
起きたらいなかったとはいえ、あんなやつの心配をしていた自分を心底馬鹿らしく思った。
疲労と睡眠不足とひどい倦怠感の中、迎えた高校2年の始業式。
「おっはよう、綾菜ちゃん! 掲示板、見た? 見た?!」
ハイテンションで近付いてきた萌は、目を輝かせながら、
「うちら、同じクラスになれたんだよ!」
萌とは、去年、クラスは違ったものの、同じ委員会になり、そこから話すようになって意気投合したわけだが。
可愛い親友。
でも、今日ばかりは、それどころではなくて。
「どうしたの? 綾菜ちゃん、嬉しくないの? 私と一緒のクラス、嫌?」
「いや、嫌とかじゃないよ。すごく嬉しい。でも、私、今ちょっと調子悪くて」
「うっそ! 風邪? 大丈夫?」
「まぁ、うん」
セックスの所為でどうこうとはさすがに言えず、私は曖昧に濁すことしかできない。
「それより、うちら、何組? 他に誰がいた?」
「D組だよ。他は、私あんまりわかんない人ばっかりでさぁ。去年、同じクラスだった子たちとも離されちゃったし」
「そっか」
私は、言いながら、人波をくぐり、掲示板に近付いた。
萌に教えられた2年D組の名簿に目をやり、上から順にクラスメイトたちの名前を辿って行くと、
「……ん?」
一瞬、見間違いなのかと思った。
だから、まばたきを繰り返し、3度くらい確認したのだが。
【桐原 大雅】
そこに大雅の名前もあったから驚いた。