吸血鬼の翼
「最近、変だよ…美月」
千秋の言葉にドキッとした美月は戸惑いながら否定する。
偶に鋭い洞察力で美月に意見をするのだから、侮れない相手なのだ。
「え?変じゃないと…思うけど…」
そう言って少し笑ってみせるも納得していないのか千秋は眉を寄せ美月を見つめていたが、どうやら諦めたらしい、溜め息を吐く。
「美月が話したくないなら良いけどさぁ、我慢するのは良くないよ?」
「……うん、ありがと」
千秋は強く詮索する事がないので助かる。
寧ろ、そういうのを嫌うタイプだ。
「あ!変っていえばさぁ、最近、妙な事件が起きてるらしいよ」
「…?」
会話の内容がコロコロと変わるので美月は追いつけずに首を傾げると千秋は更に眉を寄せる。
「最近、女子高生の失踪事件が次々と起こってるんだって。怖いよね~。」
「…!」
千秋からその事件を聞いた美月は動揺した。
何で?
どうして、こんなに胸がざわめくの?
黒く澱んだ気配が自分の足元に這ってるみたいで気持ち悪い
思考を巡らした美月は青ざめた表情を浮かべる。
「ちょっと美月、大丈夫?」
「…ごめん、何か疲れてるみたい」
…気の所為だよ、きっと思い過ごしだろう。
幾ら何でも、考え過ぎだ。
そういうと美月は立ち上がり、帰る支度を始める。
千秋は不思議そうにしていたが、気を付けてねとだけ言って教室から去っていく。
「………今頃、探してるのかな…」
誰も居ない教室にポツリと小さく呟き、鞄に必要な分だけ詰めた後、美月は気怠そうにその場を後にした。