吸血鬼の翼
「え……な、…あの…えぇえええぇ!?」
理解が追いついていない美月の頭は全てを詰め込む事が出来ずにパニック状態に陥った。
今、何て言いました?
宜しくだと言ったよね?
あれ…私、耳が可笑しくなったのかな?
頭を抱えながら、一生懸命になってイクシスの言葉の意味を考える。
そんな美月を見て、イクシスは呆れた様に溜め息を漏らして口を開いた。
「…ダイジョウブ…何もしないから…安心して」
「いや、そういう事じゃなくて……あの」
彼等の部外者だと思っていた美月は突然の話の流れに驚いているだけだ。
それに関わっていいものなのか、気が引けた。
「……何?」
他に何か問題でも?と言いたげに眉間に皺を寄せるイクシスに思わず美月は言葉に詰まる。
問題なら沢山あるけど…
「私は貴方達と関わっても良いのかな…」
無理やり気持ちを抑えなくても良いの?
また、イルト達と会える?
料理を作る量が減ったから楽になったとか思ったけど、本当は違うの。
我慢してた。
もう、自分に嘘を吐かなくて良い…?
返事を聞く為に美月の瞳は真っ直ぐ、イクシスを見つめた。