吸血鬼の翼
午前1時―。
美月の目が覚めたのはその頃だった。
頭が痛くて意識もハッキリしないが、何とか体を起して座った。
「喉、乾いた…」
そして美月はドアを開け、階段を降りて冷蔵庫に水があるか確認する。
しかし、飲み物は何処にも見当たらない。
諦めようとも思ったが、どうしても喉に潤いが欲しかったので、自販機で飲み物を買いに行こうと上着を羽織って外に出た。
「寒い…」
冷たい空気に肩を震わせながら、真っ直ぐに自販機に向かう。
ふと、横沿いの公園を一瞥した。
ここは夜になると少し不気味に感じる時がある。
霊とかそういう類いのモノではなく、何か別の感覚がする。
「さっさと飲み物買って帰ろう。」
小走りに走り自販機に着いた美月は飲みたいものを選んでボタンを押し、早々と帰路に足を進める。
妙に焦りながら歩いていると不意に横沿いから違和感を感じた。
怖くなった美月はその方角を見ない様になるべく顔を背けて歩いて行く。
ドサッ!
何か重たいモノが地面に叩きつけられた様な音がしたので思わず公園を見やる。
「何…?」
美月は何故か気になって公園に入ってしまった。
まるで、ソレに引き寄せられるかの様に…
その先に何があるのか、その時の美月は何も知らないまま―。