吸血鬼の翼
中へ入ってみると埃臭くて美月は軽く咳き込む。
その一方、佐々木は少女達の安否と人を確認するのに夢中でその場にしゃがみ込んで窺った。
「……いない。」
「え?」
美月は佐々木から無機質に発せられた言葉の意味が分からなかった。
しかし、次の瞬間には弾かれる様にして佐々木の傍へ駆け寄る。
そんなの違う、絶対に居る筈なんだ…
美月は横たわる少女達1人1人に目を凝らし、入念に確認する。
テレビで報道されていた他校生の少女が4人と美月達の後輩の村田1人。
そこには自分達が探していた人の姿はない。
「…嘘だ、そんな訳ないよ」
美月は気を失いそうな勢いで、その場にへたり込んだ。
千秋も攫われたに違いない。
そうなのに此処にはいない。
一体、どういう事なの!?
「篠崎、やっぱり千秋は家に…」
「ここに来るまでの間に一応、電話したけど家の人が居ないって…携帯も繋がらなかったし」
じゃあ、千秋は何処へ行ったと言うの?
「アラアラ、お目当ての子はこの中には居なかったようね!」
愕然とする美月と佐々木に嘲笑するリフィアは態とらしい反応を示す。
…彼女は…千秋は何処?
美月は救えない悔しさから悲愴の表情を浮かべる。
「……その子は何処?……このビルに居る筈…」
イクシスは今にも泣き出しそうな美月を庇う様にリフィアの前に立ちはだかり殺気を飛ばす。
「そういえば、そろそろ晩食の時間よね?」
紺色の瞳は鈍い光を宿して、歪んだ口元から千秋の在処を示唆した。
その一方、佐々木は少女達の安否と人を確認するのに夢中でその場にしゃがみ込んで窺った。
「……いない。」
「え?」
美月は佐々木から無機質に発せられた言葉の意味が分からなかった。
しかし、次の瞬間には弾かれる様にして佐々木の傍へ駆け寄る。
そんなの違う、絶対に居る筈なんだ…
美月は横たわる少女達1人1人に目を凝らし、入念に確認する。
テレビで報道されていた他校生の少女が4人と美月達の後輩の村田1人。
そこには自分達が探していた人の姿はない。
「…嘘だ、そんな訳ないよ」
美月は気を失いそうな勢いで、その場にへたり込んだ。
千秋も攫われたに違いない。
そうなのに此処にはいない。
一体、どういう事なの!?
「篠崎、やっぱり千秋は家に…」
「ここに来るまでの間に一応、電話したけど家の人が居ないって…携帯も繋がらなかったし」
じゃあ、千秋は何処へ行ったと言うの?
「アラアラ、お目当ての子はこの中には居なかったようね!」
愕然とする美月と佐々木に嘲笑するリフィアは態とらしい反応を示す。
…彼女は…千秋は何処?
美月は救えない悔しさから悲愴の表情を浮かべる。
「……その子は何処?……このビルに居る筈…」
イクシスは今にも泣き出しそうな美月を庇う様にリフィアの前に立ちはだかり殺気を飛ばす。
「そういえば、そろそろ晩食の時間よね?」
紺色の瞳は鈍い光を宿して、歪んだ口元から千秋の在処を示唆した。