吸血鬼の翼
「あ~、危なかった。」
そう呟きながら美月は自分の教室に入る。
朝1回、目が覚めて早く起きた為に油断して2度寝してしまった―。
案の定、ギリギリなってから起き、時計を見て慌てて支度しこうして息を切らしながら、学校に来た。
遅刻は免れたが…。
イルトもラゼキもまだ寝ているだろう。
頼りにならないなぁ…。
美月は心の中でぼやくと自分の机に渋々向かった。
窓の外を見るといつもと変わらない景色が広がっている。
平和というものだ。
改めて安堵の溜め息をつき椅子に座る。
相変わらず授業の内容が身に入らず、ぼんやりと窓の外を見ていた。
暇だ…。
友達も席が離れてるからしゃべる相手は近くにいない…。
早く授業終わる事を祈って外を眺めていると、不意に美月の目の端に何か黒いものが映り素早く通り過ぎていった。
風なんて吹いてないしゴミが飛ぶわけない…。
妙に感じた美月がその方角へ振り向くも、そこには何もなかった。
目を凝らしてみたがやはり何も見当たらない。
「……気のせいかな」
小さく呟いていると授業の終わりを告げるチャイムが学校中に響き渡った。