吸血鬼の翼
美月は帰路に足を進める―。
何となくだが、胸がざわついて落ち着かない…。
兎に角、家まで駆け足で向かった。
イルト達どうしてるかなぁ…
…と思案を巡らせながら。
家に着くと無造作にドアを開け放ち、真っ直ぐに階段に向かい一気に駆け上がる。
そして美月の隣りの部屋のドアを開き、目的のものを確認する。
良かった…ちゃんといる。
「…どうしたんだ!?」
ホッと胸を撫で下ろしているとイルトが美月に近寄り吃驚した様子で声をかける。
「…ううん、イルト達がちゃんといるかなぁって思っただけだよ。」
美月は苦笑気味に言葉を交わすとラゼキを見やる。
しかし、当の本人はベットで静かに寝息を発てていて喋る事は出来なかった。
美月はまだ寝ているのかと少し、否、かなり呆れる。
「…取り敢えず、良かった。」
安心した美月は自分の部屋へと戻った。