吸血鬼の翼


空の色は灰色から濃い暗闇へと変化していく…。


「ヤバイな……、何でおとなしく家で待たんかったんや!?あのアホ!!」

ラゼキの表情は強張っていき、その様子は尋常ではない焦りが握り締めた拳に滲み出ていた。
物凄い威圧感でどうにかなりそうな体を首を左右に振って叱咤する。

公園から飛び出し、威圧の強い方へと足を早めた。

すると突然、並木の辺りから赤黒く光っている場所がラゼキの居た場所から見える。

「あれか…!!」

間に合ってくれ…!!

ラゼキは直ぐさま光りの方向へ駆け足で向かった。




─────
────
━…




助けて……、


…誰か


「……ん」

頭の中に助けを求める声が聞こえる。
それは消え入りそうな程、とても儚げな声で―。


誰…?


私を呼んでるの?


美月は声のする方へと腕を伸ばす。


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