吸血鬼の翼
「……嬢ちゃん、ルイノの事が聞きたいんやろ?」
「え!?」
いきなり、ラゼキに核心を突かれて美月は心臓の鼓動が跳ね上がった。
そして隣りに座っている、イルトを一瞥する。
彼もラゼキ同様、真剣なまなざしで美月を見やる。
これは私が決めなくちゃいけない────。
美月はラゼキに向き直り静かに頷いた。
「そうか、んじゃ話たれ、イル」
「ああ…」
今から話される事に思わず、息を呑む。
そうしてイルトは口を開いた。
“あっちの世界”の事。
ルイノという人物の事。
どうして“この世界”に来たのか―…
今、全てわかる。
美月はゆっくりと瞼を閉じた。