ラストボーイ
「これ何したの?」
まずい。
咄嗟に思ったのがそれだった。
きっとまた迷惑かけるし心配もかけちゃうから。
それに一時的な感情で、
ああなっちゃったのかもしれないし・・・。
・・・・・やっぱり言えない。
「派手に転んじゃったのっ。」
どんな転び方したらこうなるんだろうって自分でも思ったけど、
やっぱり嘘をつくのは簡単じゃない。
「本当に?他は?痛いとこないの?」
勇志くんが不思議そうな顔で、
下からあたしを見上げる。
だって普通に考えておかしいもん。
転んだのに、足首だけって・・・・・。
きっと勇志くんもそこに疑問を持ったんだと分かった。
「一番痛いのは足かな・・・。他は大した事ないかなっ。」
あたしはいつから平気で嘘をつくようになったんだろ・・・・・。
「痛かったね」
小さな声で勇志くんはそう言った。
「少し冷やして戻ろっか・・・・・・・・・・芽生ちゃん?」
勇志くんの優しさが痛い。
嘘しかつけない自分が許せない。
あたしはいつだって弱くて、
全然大丈夫なんかじゃない。
怖かった・・・・・。
色んな感情が押し寄せて、
勇志くんの優しさが痛くて・・・気付いたらあたしは泣いていた。