ラストボーイ






グランドに戻ると、
表彰式の最中で愁ちゃんも礼ちゃんも、
メダルを受け取っている最中だった。




2人とも大活躍だったもんなぁ・・・。

愁ちゃんってばオリンピック選手でもないのにメダルかじったりして女子達に写真を撮られてるし・・・・・。





・・・・・おろ?



愁ちゃんがキョロキョロしながら、
人を掻き分けてこっちに歩いてくる。



まだ式終わってないよ?
どこ行くつもり?




愁ちゃんはあたしと勇志くんの姿を見つけるなりニカーっと笑った。




愁ちゃんはあたしの目の前に来て止まった。
首から下げている貰ったばかりのメダルを取ると、

それをあたしの首にかけた。





「これ愁ちゃんのだよっ?!」




あたし借り物として出ただけだしっ!

借り物ってのも何か言い方が嫌だけど、
と、とにかくこれはあたしのじゃないっ!!


あたしはメダルを愁ちゃんに返そうとした。






「芽生にやるよ」




だからあたしは何もしてないし・・・・・





「ん、来年もやるから」



愁ちゃんは悪戯に笑う。




来年も・・・・・。

あたしが皆と一緒に走れない事を気にしてるって分かっててしてくれたんだと思った。




まるで一緒だよって言ってくれてるみたいで、
首から下げたメダルはやけに重たかった。




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