ラストボーイ
「芽生ー!愁ちゃん来てるわよー!」
んんっ。眩しい。
って今何時よ?!寝坊だぁっぁあ!!!
あたしは眠い目を擦りながら、
急いで階段を降りて洗面所に行った。
「何回も起こしたんだからね?愁ちゃん待ってるわよ?」
あわわわわ。
んもーっいいや!!
あたしは歯磨きと顔だけ洗って、
急いで着替えを済ませた。
「ママッご飯いらないっ!ごめんね!」
「あらあら。行ってらっしゃい」
おっと。。。
玄関を開けたら不機嫌顔の愁ちゃん。
それもそうだろう。
愁ちゃんは待つのが大嫌いだから。
「愁ちゃんおはよう。芽生の事お願いね」
ママがそう言うと愁ちゃんは一旦優しい顔に戻ったけど、ふたたびあたしの顔を見てムスッとした。
「愁ちゃん?ごめんねっ?」
「いいけど、ストップ。」
へ?い、いや早くしないと遅刻だし!!
あたしがいけないんだけど、
朝礼ちゃんと勇志くんに真っ先に謝ろうと思ってたのにぃ。
「こっち向いてみ」
愁ちゃんに体を向けると、
ぐちゃぐちゃだったネクタイを直してくれた。
ってか急いでて全然気付かなかった・・・!
「ん。出来た」
「ありがとっ急いでて気付かなかったぁ」
「気付いても出来ないだろ?」
バレてます・・・。
ギリギリ学校にも間に合って、
愁ちゃんに頑張れと言われあたしは礼ちゃんが待ってる自分の教室の扉を開けた。
「あ、芽生!おはよ!」
お、おはよ・・・っ?
れ、礼ちゃん怒ってない??
いつもの礼ちゃんに動揺して、
2.3秒一時停止状態。
てっきり口も聞いてくれないもんだと思ってたから。
「あ、あのね礼ちゃんっ話があるの!」
「ん?なに?」
「昨日はごめんなさいっ。あたし愁ちゃんや礼ちゃんに心配かけたくなくてっ・・・でも嘘付いてごめんね・・・」
「あぁ。その事ね。許さないよ?」
そうだよね。
あたし嘘付いたんだもん。
礼ちゃんが失望して当然だよね。
「なーんてね」
へ・・・?
「許さないよ?あたしに言わなかった事。あたしは迷惑なんて思ってないし、芽生が大事だから心配するんだよ?それにあたし達親友じゃないの?もっと頼ってよあたしに!」
礼ちゃん・・・。
あたしは何て馬鹿なんだろう。
ちゃんと素直に説明してれば良かった。
こんなにもあたしを思ってくれる人がいる。
大事な友達があたしにはいるんだ。
「ありがとね。話してくれて。」
涙が溢れる前に、
あたしは礼ちゃんに抱き着いた。
いつもなら引き剥がされるけど、
今日は礼ちゃんもあたしを受け止めてくれた。
「芽生~」
「ほら芽生!愁くんと勇志くん来たよ」
勇志くんはあたしと目が合うなり、
いつもと同じ笑顔を見せてくれた。
それを見てまた視界がぼやけてくる。
「芽生ちゃん」
先に口を開いたのは勇志くんだった。
「ごめん。愁と礼ちゃんに話しちゃって」
「ううんっ・・・!あたしが悪いのっ!勇志くんごめんね。話せばちゃんと聞いてくれるのに、あたしってば余計な事ばっか考えちゃって。」
あたしにはいつの間にか仲間がいて、
あたしの周りにいる笑顔はいつもあたしに沢山勇気と愛をくれてた。
臆病なあたしはいつも余計な事ばかり考えすぎてたんだ。
「いつまでしんみりしてんだよ?友達だろ」
友達。
あたしには今大切な友達がいます。