ラストボーイ
ドンッ。
持っていた携帯を落とした挙句、
愁ちゃんと目が合った。
「あっ芽生ちゃん今の見てた?先生には内緒にしてねっ♪」
この際だから堂々と通過すればいいと思って、
あたしは出来るだけ下を向いて、
愁ちゃん達の前を通り過ぎた。
懐かしい愁ちゃんの匂い。
こんな近くで愁ちゃんを感じたのはあの日以来だった。
付き合ってるんだから、
恋人としてキスをするのは当たり前って分かってるのに、
なら何であの時あたしにキスしたの‥‥?
あれをきっかけに話さなくなって、
断り続けたバスケも始めて、
あたしとの時間を一切無くして‥‥
黄瀬さんと付き合ったから?
黄瀬さんと付き合ったから
あたしはもう必要なくなった‥‥‥‥?
愁ちゃんにとって、あたしは何?
色んな疑問と、
これから2度とあたし達は前みたいに戻れないかと思うと涙が出た。
追いかけてこない愁ちゃんに、
今あたしが思う事‥‥‥‥。
今までたくさんありがとう。