ラストボーイ
「‥‥芽生ちゃん?」
時間にはだいぶ遅れているのに、
勇志くんはそこで待っててくれた。
「何かあった?」
少し鼻声の勇志くんの声が上から降りかかる。
ただ首を横にしか振れないあたしを、
勇志くんは優しく抱きしめた。
何が悲しくて、
どうして涙が枯れないのか、
あたしが1番分からなかった。
大人にならなきゃいけないのに、
いつまでも愁ちゃんを頼ってたらいけないのに。
勇志くんのあたしを包む腕に一瞬力が入った気がした。
そして勇志くんはあたしに言った。
「俺、芽生ちゃんが好きだ。」