ラストボーイ
勇志くんが‥‥‥‥あたしを‥‥?
涙も止まる程の驚きと、
勇志くんの真剣な目から逸らせない。
「俺は絶対泣かせたりしない」
あたしの肩を掴む勇志くんの手に力が入るのが分かる。
俺は‥‥‥‥って、
まるであたしが泣かされてるみたいな言い方だね。
けど違うの。
あたしが勝手に悲しいだけ。
だから誰も悪くない。
「返事は今じゃなくていいから」
そう言って部屋に戻ろうとする勇志くんをあたしは呼び止めた。
「勇志くんっ‥‥!ありがとっ!今日は本当に‥‥ありがとう。」
勇志くんは優しい笑顔で「うん。」とだけ言って部屋に戻って行った。
プールの水に反射して映る自分の顔。
大事な人が離れて、
あたしを大事と思ってくれる人がいる。
失って出会う、それが人なら、
あたしはまだ大事な人を失うのですか?